外国人材の採用を考えるとき、「技術・人文知識・国際業務(技人国)」と「特定技能」のどちらに当たるのか分からず、手が止まってしまう担当者の方は多くいらっしゃいます。
結論:業務内容と対象分野で決まります
技人国と特定技能は、「専門性が高いか低いか」で選ぶものではなく、「業務内容が対象分野・対象業務に当てはまるか」で決まります。どちらにも該当しない場合や、他の在留資格の可能性もあるため、職種名や求人票の呼び方だけで判断しないことが大切です。
技術・人文知識・国際業務(技人国)とは
技人国は、大学等で学んだ専門知識や、実務経験によって培った知識・技術を活かして働くための在留資格です。出入国在留管理庁の公表資料によると、対象となる活動は「理学、工学その他の自然科学の分野若しくは人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務」または「外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務」とされています。
学歴要件を満たさない場合でも、技術・人文知識分野は10年以上、国際業務分野は3年以上の関連する実務経験があれば認められる場合があります(大学卒業者が翻訳・通訳・語学指導に従事する場合はこの実務経験要件は適用されません)。在留期間は5年・3年・1年・3月のいずれかです。
なお、令和8年4月15日以降の申請からは、企業規模の小さい区分(カテゴリー3・4)に該当する場合、代表者に関する申告書の追加提出が必要になりました。また、通訳や接客など言語能力を主に使う業務では、CEFR・B2相当(日本語ではJLPT N2以上等が目安)の言語能力を証明する資料も必要です。
特定技能とは
特定技能は、人材不足が特に深刻な産業分野において、一定の技能水準を持つ外国人を受け入れるための在留資格です。2026年6月1日時点で、出入国在留管理庁が公表している対象分野は介護、ビルクリーニング、リネンサプライ、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、自動車運送業、鉄道、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、林業、木材産業の17分野です。
対象分野に含まれない業種では、そもそも特定技能を使うことができません。技人国に当てはまらないからといって、必ず特定技能に切り替えられるわけではない点に注意が必要です。
特定技能は分野ごとに実施される技能試験と日本語試験(原則)への合格が必要で、大学卒業などの学歴要件は設けられていません。技能実習2号を良好に修了した方は、試験が免除される場合があります。
技人国と特定技能の違い(比較表)
| 項目 | 技術・人文知識・国際業務 | 特定技能 |
|---|---|---|
| 対象業務 | 専門知識・技術を要する業務、または語学・文化的知識を要する業務 | 公表されている対象分野(2026年6月時点で17分野)に限定 |
| 学歴・試験 | 大学卒業等または長期の実務経験 | 分野別の技能試験・日本語試験に合格(技能実習2号良好修了者は免除の場合あり) |
| 在留期間 | 5年・3年・1年・3月 | 1号は通算に上限があり、2号は更新の制限がより緩やかです(分野ごとの詳細は個別確認が必要) |
採用前に確認しておきたいポイント
実務では、求人票の職種名や「現場作業」「単純作業」といった呼び方だけで在留資格を判断してしまい、後から書類が整わず申請が滞ってしまうご相談をよくお受けします。まずは次を整理しておくと、その後の相談がスムーズになります。
- 採用予定者に任せたい業務内容を具体的に書き出す(作業の割合や工程まで)
- 採用予定者の学歴・専攻・過去の職歴を確認する
- 業務内容が特定技能の対象分野・対象業務に含まれるか確認する
- 技人国・特定技能のどちらにも当てはまらない場合、他の在留資格の可能性も検討する
よくある質問
現場作業を含む業務でも技人国は取れますか?
業務内容や割合によって判断が分かれるため、一律に回答することはできません。専門知識・技術との関連性を個別に確認する必要があります。
特定技能なら学歴は関係ありませんか?
特定技能には学歴要件はありませんが、分野ごとの技能試験・日本語試験に合格することが必要です。
まとめ
技人国と特定技能は、専門性の高さで単純に線引きできるものではなく、業務内容と対象分野によって決まります。どちらにも当てはまらない場合や、他の在留資格が候補になる場合もあるため、採用予定の業務内容を整理したうえで確認することが大切です。
LIS行政書士事務所では
LIS行政書士事務所では、千葉県松戸市を拠点に、技術・人文知識・国際業務、特定技能をはじめとした在留資格に関するご相談を承っています。不安をあおるのではなく、現在の状況で確認すべきポイントを一緒に整理いたします。『この業務内容はどちらに当てはまる?』と迷われた際は、自己判断なさらずに、ぜひお気軽にご相談ください。

