公共工事を落札した後は、契約書の締結だけでなく、建設業法や入札契約適正化法に基づくさまざまな事務手続きが必要になります。
「何から手をつければいいのか分からない」というご相談を、公共工事の受注が初めての会社様からいただくことがあります。
この記事では、公共工事を受注した後に必要となる主な事務手続きを整理します。
手続きの多くには法令上の期限や基準があり、後回しにすると工事の進行に影響することがあります。
まずは、主な手続きの内容から確認していきましょう。
結論
公共工事を受注した後は、契約書の締結に加えて、主任技術者・監理技術者の配置、施工体制台帳の作成・提出、建設業退職金共済(建退共)の履行確認など、建設業法や公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(入契法)に基づく事務手続きが必要になります。
案件の規模や下請契約の有無によって必要な手続きが異なるため、契約後は早めに全体像を確認することが大切です。
制度概要
公共工事は、建設業法に加え、入契法(公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律)により、施工体制の透明性を確保するための追加的な義務が定められています。
主任技術者または監理技術者は、工事現場ごとに配置する必要があり、公共性のある重要な工事で一定の請負金額以上となる場合は、専任での配置が求められます。
受注後に必要な事務手続き一覧
| 手続き | 内容 |
|---|---|
| 契約書の締結 | 発注者との契約書を締結。契約保証金の取扱いが必要な場合は契約条項を確認 |
| 現場代理人の選任・通知 | 現場代理人を選任し、契約条項に基づき発注者へ通知 |
| 主任技術者・監理技術者の配置 | 工事現場ごとに配置。一定規模以上の重要な工事では専任配置が必要(建設業法) |
| 施工体制台帳の作成・提出 | 下請契約の総額が一定額以上の場合に作成し、公共工事では発注者へ写しを提出(建設業法・入契法) |
| 施工体系図の作成・掲示 | 下請負人の施工分担関係を示す図を作成し、工事現場に掲示(建設業法) |
| 建退共の履行確認 | 加入状況や掛金充当実績の提示等(国土交通省通達に基づく履行確保) |
| 施工計画書等の提出 | 発注者が求める書類を案件ごとに提出(契約条項・発注者の要綱による) |
注意点
施工体制台帳の作成義務や、主任技術者・監理技術者の専任要件、監理技術者と主任技術者の選任基準には、それぞれ異なる金額基準が設けられており、混同しやすい点です。
案件の請負金額・下請契約の総額を確認し、どの基準に該当するかを個別に確認する必要があります。基準額は見直されることがあるため、契約時点の最新の基準を確認することが重要です。
建退共への加入自体に法的な強制力はありませんが、公共工事においては国土交通省の通達により、元請への履行確認の徹底が求められており、経営事項審査(経審)の加点にも関わるため、実務上は特に注意が必要です。
実務上、契約後の事務手続きは現場・総務・経理など複数の部署にまたがることが多く、担当が分かれていることで手続きの抜け漏れが生じやすい、という声を伺うことがあります。
よくある質問
公共工事を受注したら、必ず施工体制台帳を作成する必要がありますか?
下請契約を締結せず自社のみで施工する場合は、施工体制台帳の作成は不要です。下請契約を締結する場合で、その総額が一定額以上になる場合に作成・備置きが必要となり、公共工事では発注者への写しの提出も必要になります。具体的な基準額は法令で定められているため、契約時点の最新の基準を確認する必要があります。
主任技術者と監理技術者はどちらを配置すればいいですか?
下請契約の総額によって、監理技術者を配置すべきか主任技術者でよいかが分かれます。基準額は見直されることがあるため、契約時点の最新の基準で確認する必要があります。
建退共に加入していないと、公共工事を受注できませんか?
建退共への加入自体が受注の絶対条件とはされていません。ただし、公共工事では国が加入・履行の徹底を求めており、経営事項審査の加点にも関わるため、未加入の場合は早めに加入を検討することをおすすめします。
まとめ
公共工事を受注した後は、契約書の締結だけでなく、主任技術者・監理技術者の配置、施工体制台帳の作成・提出、建退共の履行確認など、複数の事務手続きが必要になります。案件の規模や下請契約の有無によって必要な手続きが異なるため、受注が決まったら早めに全体像を確認しておくことをおすすめします。
LIS行政書士事務所では・・・
LIS行政書士事務所では、千葉県松戸市を拠点に、建設業許可・入札参加資格申請に関するご相談を承っています。
「受注後、何から手続きを進めればいいか分からない」という状況でも、不安をあおるのではなく、必要な手続きを一緒に整理いたします。
ご自身の会社の状況でどのように対応すればよいか分からない場合は、早めに専門家へ確認することをおすすめします。

