契約保証と前払保証の違いとは?公共工事で混同しやすい保証を分かりやすく解説

    契約保証と前払保証は、どちらも公共工事でよく出てくる保証です。名前が似ているため混同しやすいですが、目的や手続きのタイミングは異なります。

    契約保証は「契約の履行」を担保する保証、前払保証は「前払金の支払いを受けるため」に必要となる保証です。

    契約のたびに必要になる書類ですが、言葉が似ていて混乱してしまいますよね。保証証書の不備で契約や入金が遅れたらどうしよう、と不安に感じる実務担当者の方も少なくありません。

    この記事では、実務で迷いやすい契約保証と前払保証の違いを整理し、スムーズに手続きを進めるためのポイントを分かりやすく解説します。

    目次

    契約保証と前払保証は目的が違います

    契約保証と前払保証は、どちらも公共工事の契約で登場することがありますが、保証している内容が違います。

    契約保証は、受注者が契約どおりに工事や業務を履行することを担保するための保証です。

    一方、前払保証は、発注者から前払金の支払いを受けるために必要となる保証です。

    つまり、契約保証は「契約そのもの」に関する保証、前払保証は「前払金」に関する保証と考えると整理しやすくなります。

    契約保証とは

    契約保証とは、公共工事などの請負契約を締結する際に、受注者の契約上の義務の履行を確保するために求められる保証です。

    工事や業務を受注した後、受注者側の事情で契約を履行できなくなった場合に備えるためのものです。

    契約保証の方法には、契約保証金の納付、金融機関等の保証、公共工事履行保証証券、履行保証保険などがあります。

    実務上は、契約金額の1割以上とされることが多いですが、発注者や契約内容によって異なるため、必ず契約約款や発注者の指示を確認しましょう。

    特に、公告、入札説明書、契約書案、契約約款に契約保証の要否や保証額が記載されていることがあります。

    前払保証とは

    前払保証とは、公共工事などで前払金を受ける場合に必要となる保証です。

    前払金は、工事の着工時に必要となる資材の購入費や労働者の確保などに使うため、発注者から受注者へ支払われるものです。

    ただし、前払金は公的資金から支出されるため、発注者側にとっても、支払った前払金が適正に保全されることが重要です。

    そのため、前払金を請求する場合には、保証事業会社との前払保証契約が必要になるのが一般的です。

    実務上、前払金は契約金額の3割以内とされることが多く、低入札価格で落札した場合は20%以内とされることがあります。ただし、割合は発注者や案件ごとに異なるため、都度確認が必要です。

    前払保証を確認するときは、契約約款の「前払金」に関する項目を必ず確認しましょう。

    また、年度をまたぐ業務や工事の場合は、全体の契約金額だけでなく、年度ごとの支払限度額を確認する必要があります。

    契約保証と前払保証の違い

    契約保証と前払保証の違いは、次のように整理できます。

    項目 契約保証 前払保証
    目的 契約の履行を担保する 前払金の支払いを受けるために必要
    主なタイミング 契約締結時 前払金を請求するとき
    実務上の目安 契約金額の1割以上とされることが多い 3割以内、低入札価格で落札した場合は20%以内とされることがある
    確認する資料 公告、契約書案、契約約款、発注者の指示 契約約款の前払金の項目、年度ごとの支払限度額、発注者の指示
    申込時の注意 保証申込時点では証券がまだないため、発注者の指示内容を確認する 発注者から保証申込みに関する指示書をもらえる場合がある

    契約保証は契約そのものに関する保証、前払保証は前払金を受けるための保証です。

    そのため、前払金を請求しない場合でも、契約保証が必要となることがあります。一方で、前払金を請求する場合には、契約保証とは別に前払保証の手続きが必要になることがあります。

    保証を申し込むときの実務上の流れ

    保証の手続きでは、「保証証書を提出する」という言い方をすることがありますが、保証を申し込む段階では、まだ証券や保証証書は発行されていません。

    実務上は、発注者から保証申込みに関する指示書や、契約内容が分かる資料をもらえることがあります。

    その内容をもとに、保証会社や金融機関等へ保証の申込みを行い、審査や手続きの後に保証証書などが発行されます。

    保証の申込みで確認されやすい項目は、次のとおりです。

    • 発注者名
    • 受注者名
    • 工事名または業務名
    • 契約金額
    • 保証金額
    • 工期または履行期間
    • 前払金の有無
    • 年度ごとの支払限度額

    保証証書の発行後に内容の誤りが分かると、差し替えや再手続きが必要になることがあります。

    申込み前に、工事名、契約金額、工期、発注者名などが契約書類と一致しているか確認しておくと安心です。

    実務で混同しやすいポイント

    相談現場では、「契約保証を申し込んだから、前払金の手続きも終わったと思っていた」というケースがあります。

    しかし、契約保証と前払保証は別の手続きとして確認する必要があります。

    特に注意したいのは、次の点です。

    • 契約保証が必要か
    • 前払金を請求する予定があるか
    • 前払保証の申込みが必要か
    • 発注者から保証申込みに関する指示書が出るか
    • 契約約款の前払金の項目にどのように記載されているか
    • 年度をまたぐ場合の年度ごとの支払限度額
    • 電子提出か紙提出か
    • 発注者ごとの指定様式があるか

    公共工事では、同じような書類名でも、提出先や提出タイミングが違うことがあります。

    総務や営業事務の実務では、「どの保証を申し込むのか」だけでなく、「何のための保証か」「どの書類をもとに申し込むのか」まで管理しておくと安心です。

    年度をまたぐ契約では支払限度額に注意

    年度をまたぐ工事や業務では、前払金の計算や請求の際に、契約金額全体だけを見ればよいとは限りません。

    発注者の契約約款や契約書類に、年度ごとの支払限度額が記載されている場合があります。

    この場合、前払金の割合を確認するときも、全体の契約金額だけで判断せず、年度ごとの支払限度額との関係を確認する必要があります。

    年度をまたぐ案件では、「契約金額」「各年度の支払限度額」「前払金の対象額」を分けて確認しましょう。

    電子提出の運用にも注意

    保証証書等については、電子的な提出が認められる運用も進んでいます。

    ただし、実際の提出方法は発注者ごとに異なる場合があります。

    「電子でよいか」「原本提出が必要か」「保証証券等確認システムを使うか」は、発注者の案内で確認しましょう。

    電子提出が可能な場合でも、提出先、提出方法、確認番号の扱いなどは発注者の指示に従う必要があります。

    契約変更があった場合の確認ポイント

    契約変更で請負代金額が増額される場合、契約保証金の変更が必要になることがあります。

    ただし、変更が必要かどうかは、発注者の契約約款や運用、変更後の契約金額、保証の内容によって異なります。

    変更契約を締結した際は、発注先の担当者へ契約保証金の変更が必要か確認しましょう。

    前払金についても、変更契約や年度ごとの支払限度額の変更がある場合には、前払保証の取扱いを確認する必要があります。

    申請・契約前に確認したいこと

    公共工事を受注したときは、まず次の点を整理しておくとスムーズです。

    • 契約保証が必要か
    • 契約保証の額はいくらか
    • どの保証方法が認められているか
    • 前払金を請求する予定があるか
    • 前払金の割合は契約約款でどう定められているか
    • 低入札の場合の前払金の上限に制限があるか
    • 年度をまたぐ場合、年度ごとの支払限度額はいくらか
    • 保証申込みに関する指示書があるか
    • 保証証書の提出期限
    • 提出方法が紙か電子か
    • 変更契約時に契約保証金の変更確認が必要か

    特に、保証関係の手続きは契約締結や前払金請求のスケジュールに影響します。

    書類がそろってから慌てて確認するのではなく、落札後や契約準備の段階で早めに発注者の案内を確認しておきましょう。

    よくある質問

    Q. 契約保証と前払保証は同じものですか?

    同じものではありません。契約保証は契約の履行を担保するための保証、前払保証は前払金を受けるための保証です。

    Q. 契約保証の額はどのくらいですか?

    実務上は、契約金額の1割以上とされることが多いです。ただし、発注者や契約内容によって異なるため、公告、契約約款、発注者の指示を確認しましょう。

    Q. 前払金はどのくらい受けられますか?

    実務上は、契約金額の3割以内とされることが多く、低入札価格で落札した場合は20%以内とされることがあります。ただし、案件ごとに異なるため、契約約款の前払金に関する項目を確認する必要があります。

    Q. 年度をまたぐ契約では何に注意すればよいですか?

    年度をまたぐ契約では、全体の契約金額だけでなく、年度ごとの支払限度額を確認することが大切です。前払金の対象額や請求できる時期が、年度ごとの支払限度額に関係する場合があります。

    Q. 保証を申し込むとき、保証証書は最初からありますか?

    保証を申し込む段階では、保証証書や証券はまだ発行されていません。発注者から保証申込みに関する指示書をもらえる場合があるため、その内容をもとに保証会社等へ申込みを行います。

    Q. 契約保証を出せば、前払保証は不要ですか?

    不要とは限りません。契約保証と前払保証は目的が異なるため、前払金を請求する場合には、別途前払保証が必要になることがあります。

    Q. 変更契約をした場合、契約保証金も変更が必要ですか?

    請負代金額が増額される場合などには、契約保証金の変更が必要になることがあります。変更契約を締結した際は、発注先の担当者へ確認しましょう。

    まとめ

    契約保証と前払保証は、どちらも公共工事で重要な保証ですが、目的が異なります。

    契約保証は契約の履行を担保するもの、前払保証は前払金を受けるための保証です。

    実務上、契約保証は契約金額の1割以上、前払金は3割以内、低入札価格で落札した場合は20%以内とされることがあります。ただし、発注者や案件ごとの契約約款・指示内容によって異なるため、個別確認が必要です。

    特に、前払保証では契約約款の前払金に関する項目や、年度をまたぐ場合の年度ごとの支払限度額を確認しましょう。

    また、保証を申し込む段階では証券がまだないため、発注者からの保証申込みに関する指示書や契約書類をもとに手続きを進めることが大切です。

    保証関係の書類は、契約締結や前払金の入金スケジュールに関わるため、実務担当者にとって緊張感のある手続きです。「これで本当に合っているのか不安」「急ぎで手続きが必要だが、書類に不備がないか自信がない」といった場合も、書類作成のプロとしてサポートいたします。

    LIS行政書士事務所では・・・

    LIS行政書士事務所では、千葉県松戸市を拠点に、入札参加資格申請や公共工事に関する契約手続きの確認をサポートしています。

    不安をあおるのではなく、現在の状況で確認すべきポイントを一緒に整理いたします。

    「契約保証と前払保証の違いが分からない」「保証申込みに必要な情報を整理したい」「変更契約時に何を確認すればよいか不安」という場合も、お気軽にご相談ください。

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